そば【蕎麦】

➀(古名「そばむぎ」の略)タデ科の一年生作物。原産地は東アジア北部とされ、中国・朝鮮から日本に渡来。ロシアに多く栽培。多くの品種があり夏ソバ・秋ソバに大別。茎は赤みを帯び、花は白。収穫までの期間が短く、荒地にもよく育つ。果実の胚乳で蕎麦粉を製する。「蕎麦の花」は〈[季]秋〉。

➁(「そばきり」の略)蕎麦粉・小麦粉にヤマイモ・卵白などを入れ、こねて細く線状に切った食品。ゆでて、つゆをかけ、またはつゆに浸して食べる。
≪広辞苑より≫

 

『そば≠日本食』

おそば、好きな方多いですよね?

日本では麺状にして食べるイメージが強いですが、いわゆるそば切りとしての歴史は意外にも浅く、江戸時代の少し前だそうです。

日本でソバが見られるようになったのは縄文時代、また日本のソバ栽培の起源は現在科学的に判明している資料では古墳時代といわれていますから、少なくとも1,500年以上前からそば切りが出来るまではソバの実を丸のまま食べる「そば米」やそばの実を砕いてお湯でこねた「そばがき」として食されてきました。

『そば=日本食』という様に思われがちですが、意外(?)にも世界各地でソバは親しまれています。
さて、ではどのように世界では食べられているのでしょうか。

 

世界のソバとロシア

まず、FAO(国連食糧農業機関)の2019年統計によりますと、世界のソバの産地と生産量は以下の様になっています。

国 名 生 産 量
1 ロシア    785,705t
2 中国    430,166t
3 ウクライナ     85,020t
4 アメリカ     84,225t
5 ブラジル     65,255t
6 カザフスタン     44,998t
7 日本     42,600t
8 タンザニア     22,443t
9 カナダ     18,000t
10 ベラルーシ     16,959t
11 ネパール     11,464t
12 ブータン      2,350t
13 韓国      1,940t
14 ボスニア・ヘルツェゴビナ        742t
15 南アフリカ        228t
16 ジョージア        116t
17 モルドヴァ         23t
18 キルギス          4t

実は日本の生産量は世界第7位で、第1位のロシアと比べると僅か約1/20。
ロシアの中で最も生産量が多いのはシベリアのアルタイ地方で、全体の43%を占めています(2015年)。

新型コロナウイルスのパンデミックが始まった2020年3月には、ロシアでは真っ先にソバとトイレットペーパーがスーパーの棚から無くなったそうです。

ロシアでは『シチー(キャベツのスープ)とカーシャ(ソバの実の粥)、日々の糧』、ウクライナでは『母はソバの実のカーシャ、父はライ麦のパン』という言い伝えがあるほど、切っても切れない縁のある食材がソバなのです。ロシアでは遅くとも12世紀には農民の食卓にソバが上がっていたと言われています。

また、ゴーゴリの小説『死せる魂』ではソバの実を詰めた子羊の足について描かれていますし、プーシキンが妻に宛てた手紙の中で、バター入りのソバの実カーシャを食べたと書いています。

 

ソバ料理って何があるの?

ロシア🇺

それでは、ロシアでよく食べられるソバ料理をご紹介しましょう。

カーシャ Kаша

穀物等を水、牛乳、ブイヨンなどで煮た粥状のもの。米、キビ、小麦などがあるが、ソバの実を使用したものが最も人気がある。

ブリヌイ Блины

ソバ粉や薄力粉に卵、牛乳、砂糖などを混ぜ合わせて薄く焼いたクレープ状のもの。キャビアやイクラなどを載せてザクースカ(前菜)としても、ジャムなどを載せてデザートとしても食べられる。

クンデュムィ Кундюмы

マッシュルームとソバのダンプリング(餃子風)。小麦粉の生地でマッシュルームやソバの実で作った餡を包み、オーブンで焼いてからブイヨンを加えてオーブンでさらに蒸す。

グレチョット Гречотто

ソバの実のリゾット。ソバの実(グレーチカ)とリゾットの造語。ソバの実を炒め、ワインやブロスを加えて煮る。

ほかにも豚脂の塩漬けサーロCалоを小さく切って焼いたシュクヴァルキШкваркиを入れたカーシャや、ソバとマッシュルーム炒めなど、日本ではまずお目にかかれない珍しい料理が多くあります。

 

その他の国・地域では以下の様な料理があります。

フランス🇷

ガレット・・・そば粉のクレープ。ブルターニュ地方の郷土料理。

イタリア🇹

ピッツォッケリ・・・そば粉のショートパスタ。ロンバルディア州最北部ヴァルテッリーナの郷土料理。
シャット・・・そば粉の衣でチーズを包んだフリッター。ロンバルディア州最北部ヴァルテッリーナの郷土料理。

スロヴェニア🇮

アイドヴィ・ジュガンツィ・・・バターを使用したそばがきの様な郷土料理。

韓国・北朝鮮🇷🇵

冷麺
メミルプチムゲ・・・そば粉のチヂミ。

中国🇳

饸饹(ヘロ) ・・・内モンゴル地方の押し出し蕎麦。具入りのスープを掛ける。
蕎麦麺猫耳朶(モルンチフ)・・・練ったそば粉を猫の耳サイズに伸ばして茹でたもの。具入りのスープを掛ける。

 

終わりに

いかがでしたか?

案外、身近に思えるソバですが、まだまだ知らない事が多くあったのではないでしょうか。

今までロシアに行かれててもソバを食べていなかったという方、さらにこれからロシアに行ってみるという方も、ぜひ一度ロシア人が大好きなソバを堪能あれ!