ロシアの伝統行事の中で、冬に別れを告げ、春を迎える準備を始めるお祭り、それが、「マースレニツァ」です。
このお祭りは、復活祭から数えて56日前の、先祖を追善する断肉土曜日の直後から、1週間に渡って続く伝統的なイベントで、それが終わるとロシアの正教徒たちは、来る復活祭に向かって49日間の大斎(キリストの断食に倣い、この期間は肉、魚、卵、乾酪類などを食べない)に入ります。
マースレニツァは、移動祝日である復活祭を基準に決められるため、毎年、その期間が変動します。
2021年のマースレニツァは、3月8日(月)から14日(日)の一週間、つまり、ちょうど今週なのです。

特に、この祭りの主人公といえるのが、クレープに似たロシア料理「ブリヌィ」。
まん丸にこんがりと焼けたブリヌィは、太陽の象徴であり、人々はブリヌィに、蜂蜜やジャム、イクラをくるんで、お腹いっぱいになるまで食べます。

マースレニツァの起源は、10世紀にロシアがキリスト教を受容する前の、多神教の時代にさかのぼります。春分の日を前に、冬を象徴するカカシを燃やしたり、格闘技の大会をしたり、ブリヌィを焼いてみんなで食べ、飲めや歌えの楽しい時間を過ごしたものでした。
その後、ロシアがキリスト教を受容すると、この伝統はキリスト教の暦の中に吸収されていったのです。

マースレニツァは、冬と別れを告げ、春を迎える準備を始める祭り。
ロシアの街には、市が立ち、人々は踊りやソリ滑りを楽しんだりします。





1週間続いたマースレニツァの最後の日、冬を象徴する大きなかかし人形を燃やし、長かった冬に別れを告げると、人々は大斎に入り、春の復活祭に向かって準備を始めます。
日々自然も春めき、春分の日が目前の今週末、みなさんも、ぜひブリヌィをお腹いっぱい召し上がってはいかがでしょうか?