今年のモスクワの冬は記録的な積雪量を記録しました。そしてこの4月は既に20℃を超える日があって、こちらも記録的な暖かさです。日中は半袖で歩ける陽気で、これはもう初夏ですね。
途端に春を待ちわびた人達がこぞって街に繰り出しました。平日だというのに、まるで祝日のような賑わいです。でもここで気を抜かず、引き続き感染対策をしながら春を楽しみたいものですね。
さて今回は前回に引き続き、ガガーリン宇宙飛行60周年記念の後半です。
ガガーリンが実際に住んでいた家や街の様子、是非立ち寄っていただきたいカフェ情報も合わせてお届けいたします。
ガガーリン市街
この日はすっきりと晴れ渡った良い天気で、絶好の散歩日和。知人に聞いたところ、ガガーリン市の博物館やガガーリンの家まで車で6,7分で移動できて便利だと聞いていました。
でも地図で調べたら徒歩30分圏内に見学したい場所が集まっているし時間に余裕もあるし、歩いてまわることに決定しました。
歩き始めるとほのぼのとした田舎町という風情で、街の中心部を川が流れています。このグジャチ川は最終的に大きなヴォルガ川に注いでいます。
そしてロシアの街らしく、少し歩くとステキな教会を目にすることができます。それに小さな家も可愛らしいので、街を見ながらブラブラするのも楽しいです。時間があれば、教会の中に入ってみることをオススメします。それぞれ内部の壁画や飾ってあるイコン画が様々で、空気もひんやりとして静かなのでとても落ち着きます。
そしてガガーリン縁の地らしく、こんな看板を見つけました。世界で初めて有人宇宙飛行を成功させたガガーリンと、こちらも世界で初めて宇宙遊泳を成功させたレオーノフという、豪華な看板です。
『 翼を得るには、飛びたいと望むことが必要だ ガガーリン 』
偉大なことを成し遂げたガガーリンの言葉は説得力がありますね。ガガーリン市の子供達の心に夢を見る大切さが刻まれているんでしょうね。
ガガーリンの家博物館
ガガーリンの両親
入り口の前にはガガーリンの母アンナの記念碑が建っています。ベンチに腰掛けたアンナと足元の犬。宇宙に旅立ち二度と帰らないかもしれない息子を待つ母の姿が切なく、そして強く美しい愛を感じる銅像です。
ガガーリンのイメージを作り込むために、両親が労働者階級だということが強調されました。労働者階級であることは間違いありませんが、ガガーリンの両親はどちらも勉強熱心で教養がありました。
父のアレクセイは腕の良い大工で、ガガーリン家の家具やおもちゃは父の手作りでした。これらは今でも良い状態で保存されているので見学することができます。まだまだ使えそうですよね。
家族の住まい
ガガーリンは少年時代をこの家で過ごしました。玄関を入ると日の当たる小さなテラスになっていて、ここで家族と過ごしたり、父アレクセイの手作りのおもちゃで遊んでいたようです。
中に入るとすぐにダイニングキッチンがあります。大きなペチカ(薪オーブン)の上は、横になれるようにになっていて、冬場はポカポカのベッドになるそうです。幼いガガーリンと弟ボリスがはしごを登る様子が目に浮かぶようでした。
ガガーリンは小さな部屋で、弟のボリスとひとつのベッドで寝ていたそうです。ガガーリンが小学校に上がった頃独ソ戦が始まり、兄ヴァレンチン、姉ゾーヤはその混乱の中、一時的にドイツ軍に連れて行かれるなど大変な時代でした。
小学校にはチョークもノートも鉛筆もありませんでした。ガガーリンは新聞紙と炭を使って、一生懸命勉強しました。この小さな温かみのある家は、ガガーリンがそんな少年時代を過ごした家なんですね。
家の脇には、ガガーリンが植えたライラックの木があります。初夏に訪れれば、ガガーリンの美しいライラックが見られるはずです。
両親に贈られた家
ガガーリン家の道を挟んだ真向かいに、両親の家があります。これはガガーリンの功績を讃えて、政府から両親に贈られた家です。ガガーリン家よりひと回り大きく、窓も多く住みやすそうな家でした。
玄関テラスは両親のお気に入りの場所で、家族が集まるとここで団らんしたそうです。リビング、書斎、寝室は見学することができますが、残念ながらキッチンとバスルームは非公開でした。家を1軒プレゼントされるなんて誇らしかったでしょうね。
この家の前には、政府からガガーリンに贈られたピカピカの高級車も展示されているので、お見逃しなく!
ガガーリン記念博物館
両親の家のすぐ裏に位置するガガーリン記念博物館。この建物は以前、宇宙飛行士のためのホテルでした。
小さな博物館ですが、ガガーリンの私物や資料を見学することができます。実際に使っていた服や靴、カバンもきれいに残されています。それから、訪日した際に贈られた下駄や食器などもあって、なんだか親しみがわきました。
他にも、ガガーリンが実際に使っていたデスクや書棚などを持ってきて再現された書斎も見学することができますよ。
そして、博物館の一室から見える敷地内の一角にはガガーリンの記念碑があり、この日はたくさんの花が捧げられていました。
アットホームなカフェ 『イズバ・チャイナ』
今回の情報をインターネットで探していたら、博物館のサイトにこのカフェがありました。『イズバ・チャイナヤ』は、『小屋のお茶屋さん』という感じのニュアンスです。
雰囲気が良さそうなので、お昼はここで食べようと決めました。しかも、ガガーリンの家や記念博物館から徒歩3分程度なのでとても便利です。博物館のサイトにあるだけあって、中に昔の生活用品や人形の展示があります。
3時頃に行ってみたら団体のお客さんで満席だったので、計画を変更して全ての見学を終えてから改めて1時間後に訪問。すると、お姉さんたちが休憩していました。さっきのものすごい大混雑を見ていたので、「私急いでないので、休んでからで良いですから。ゆっくり休憩してください。」と伝えてから座りました。
お客さんは私1人だったので、休憩中のお姉さん達と雑談しつつ、メニューについて教えてもらいました。「あ、メニューに無いけどボルシチ食べない?」「今日は開けたばかりのイクラで新鮮だし、ジャムも手作りで美味しいのよー」「ロシアっていうお茶もオススメよ!」など、日本から来た珍しい客にとても親切にしてくださいました。
どれも美味しそうで迷っていると、「じゃあ、こうしなさいな。イクラのブリヌイ(ロシアのクレープ)にジャムのトッピングすれば、2つの味を楽しめるわよ!」と的確なアドバイス。オススメのボルシチと紅茶『ロシア』も注文して待つことに。
ボルシチは、ロシアに来て初めてだというくらい、きちんと熱くて本当に身体に染みる美味しさ。ロシアではたいていのスープが一気飲みできるくらいぬるいので、とても嬉しかったです。
ブリヌイはモチモチ食感。小粒のイクラも前評判どおり新鮮でプチプチした食感が最高!そして、黒スグリの手作りジャムの抜群に美味しいこと…。紅茶もベリー系のブレンドですが、香りが控えめで好みの味でした。そういえば、ジャムの持ち帰りをお願いすれば良かったと後悔しました。
味、サービス、雰囲気、価格を総合して、自身を持ってオススメできるカフェです。地方価格なのでとにかく安いです。3人のお姉さんたちが全員親切で居心地の良いカフェだったので、電車の時間までゆっくりさせていただきました。
最後には、「必ずまた来てね。気をつけて帰ってね。」と、お母さんのような優しい言葉までかけていただきました。なんて温かいサービスなんだろうと心が温まり、ほっこり嬉しい気分で帰路につくことができました。
まとめ
ガガーリン縁の地、ガガーリン市はいかがでしたか?
ガガーリンは誰もが知っていますが、ロシア人でも、ガガーリン市の存在を知らない人が結構いることを今回知ってびっくりしてしまいました。モスクワから片道約2時間で日帰りで行けますし、宇宙やガガーリンの功績に興味がある人には最高の観光スポットです。
特急列車≪ラスタチカ≫に乗って、是非日帰り旅行に行ってみてください。モスクワとは全く違う、小さくてほのぼのとした街の魅力が楽しめると思いますよ!