こんにちは!今回も前回に続き、モスクワ最新コロナ情報をお届けいたします。

前回は毎日の生活に関わる情報がメインでしたので、今回はコロナ禍でのロシア文化の楽しみ方についての情報をまとめてみました。モスクワには素晴らしい劇場や美術館がいくつもあり、質の高い芸術に触れることができます。また、映画もかなりお手頃価格で楽しめるので、こちらも気軽な楽しみとしてとても人気です。

それから、ちょうどコロナが少し落ち着いてきたところで、モスクワから日帰りできる工場見学にも行ってみたので、その時の様子も合わせてお伝えしていきます。

 

劇場の意外な安心感

モスクワ音楽院大ホール ソーシャルディスタンスを保つ観客席

モスクワ音楽院大ホール ソーシャルディスタンスを促す座席

ザリャジエ コンサートホール外の大画面 コロナ対策の呼びかけ

こんなコロナの期間に劇場に行くなんて!と思われるかもしれませんが、モスクワの劇場はかなり厳しくコロナ対策をしています。カフェやレストランに少人数で行っても、意外に隣との距離が近いということもあるので、それに比べたら、劇場の方がよほど安心だという印象です。

席はかなり間隔を空けて販売されるので、隣に他人が座ることはありません。また劇場には、席を案内したり、パンフレットを売ったり、無断撮影を注意したりするスタッフが各所に配置されていて、マスクを外して鑑賞している観客はもちろん、少し鼻が出ていようものなら、すぐに注意されます。まあ、ここはロシアなので、注意されたときだけ直してすぐマスクをずらしてしまうという人も少人数いますが、大体の人がきちんとルールを守っておとなしくコンサートや劇を鑑賞しておとなしく帰っていきます。密になることもなく安全に芸術鑑賞ができるのは、とてもありがたいことです。皆でルールを守って、芸術鑑賞を継続していければ嬉しいです。

 

美術館の新しい楽しみ方

美術館は、11月13日から1月21日まで政府の指示により閉館していましたが、嬉しいことに、22日からまた再開されました。でも、閉館している時期も悪いことばかりではありませんでした。例えば、トレチャコフ美術館のYouTubeチャンネルでは、企画展をかなり時間をかけて巡ってくれる動画をアップしてくれていました。(ロシア語ですが・・・)同じ企画展を、通常バージョン、字幕&手話バージョンでアップしてくれるなど、とても親切で良いなと思いました。ロシア語が理解できなくても、館内を巡って作品を見ることができるなんて、素晴らしい配慮ですよね。

その他にも、有料でオンラインエクスカーションが開かれることもあって、閉館していた時期も芸術好きなロシア人はこのようなサービスを利用して芸術に触れる機会を得ていまた。

また美術館だけでなく、クラシックコンサートもライブ配信のサービスがあります。コロナの規制により65歳以上は劇場に直接行くことができないのですが、ロシアのお年寄りにとって、コンサートは大切な趣味のひとつ。自宅でも楽しめるような配慮が嬉しいですね。

トレチャコフ美術館 YouTubeチャンネル: https://www.youtube.com/user/stg

モスクワオンラインコンサート     : https://meloman.ru/videos/

 

国立図書館の対応

ロシア国立図書館 読書スペース

映画「モスクワは涙を信じない」のワンシーンの舞台にもなった国立図書館の読書スペース。コロナ対策として、昨年11月14日からは、事前予約をしなければ入館できないシステムになりました。私はよくふらりと立ち寄って読書をしたり勉強したりしていましたが、しばらくはそれもできそうにありません。

予約制になる前に来館したときは、スタッフが空いているデスクを定期的に消毒していました。かなりゆったりとしたスペースなので、誰かと隣り合わせになることはありませんし、椅子の数も減らしてあるのか、間隔を空けて座るようになっていました。デスクの上には、コロナ対策を促す小さなチラシも置いてあり、それぞれが静かに調べ物や読書をしているので、安心感がありました。

 

グジェリ 陶器工場見学にて

グジェリ工場のエクスカーション

職人さんもマスクを着用して作業

海外旅行ができなくなってから、ロシア人の皆さんはすぐに国内旅行にシフトチェンジしました。モスクワ近郊にも、日帰りや数日で行ける素敵な場所もありますし、博物館や美術館も予約制などで制限しながら稼働し始めています。

先日、友人と車でグジェリという陶器が有名な場所に行ってきました。グジェリ焼きは白地にブルーで模様が描かれているポピュラーな陶器で、日本人にも人気があります。

前もって予約しておいた工場見学に参加。もちろんガイドさんもお客さんもマスク着用です。が、ここはロシア。マスクをしていないグループが入ってきました。ガイドさんが「マスクしてくださいね。」と注意すると、そのグループのお父さんが自信満々に言いました。「私はもうコロナにかかったので、大丈夫です。」と。大丈夫の根拠があまりにも薄いのですが、ガイドさんもそれ以上は戦わず。公に宣言できるところが「ああ、ロシアだなあ」と思いました。

こんな感じで、ロシアでは自己責任で自分の身は自分で守るというのが基本です。職務としてコロナ対策を管理している人以外では、「皆ルールを守っているんだから、あなたも」という理屈を言う人はあまりいないですね。このような国民性を知っているので、本当にコロナにかかりたくない!というロシア人の皆さんは、全く外出しないという対策を取っています。気にしない人と、ものすごく気にする人の両極端という印象です。

 

ロシアのいいところ

ザリャジエ公園のイルミネーション:あらゆる色に変化してとても幻想的

コロナ対策がいい加減で、困ったなぁと思うことが多々あったのですが、個人的にすごく良いなと思うことがあります。

それは、コロナに感染した人に対してのバッシングが聞かれないこと。学校で感染した子や家族が出ても、それを大問題にして騒ぎ立てたりせずに、クラスのSNSなどで静かにお互いに心配し合う様子などが聞かれ、感染者に対するバッシングやネガティブな行動は耳にしませんでした。そういう大変な時はお互い様と、感覚が柔軟なところは良いなと思いました。

それから、こんな時でも街をキレイにデコレーションしてあるので、散歩が大好きなロシア人にとっては、気持ちがとても安らぐひとときを持つことができます。もちろん、例年よりはおとなしい感じはありますが、自粛するだけでなくできる範囲で生活を楽しもうという気持ちはとても素敵だと思います。

 

まとめ

2回にわたってお届けしました、最新のモスクワ情報はいかがだったでしょうか?

人によってももちろん違いますが、大多数のロシア人は、適度に守って適度に手を抜いて、ストレスを溜め込みすぎず、お互いにギスギスしすぎずに毎日を過ごすのが上手だなと思いました。ただひたすら我慢するだけでなく、今回ご紹介したようなメディアを使って自宅で芸術を楽しんだり、たまには劇場に足を運んでみたり、キラキラな街を散歩したり、それぞれの楽しみ方でこの時期を乗り切ろうとしています。

オンラインコンサートや美術館巡りは、もちろん日本からでも楽しめるので、ご興味がある方はぜひご覧になってみてくださいね。そして、また安全に海外旅行ができるようになるのを、楽しみに今を乗り切りましょう!