今日は、皆さんに、是非ご紹介したい本があります。
それは、「2時間で逢える日本―ウラジオストク」(発売:皓星社)。

この本は、日露両国から、日本とウラジオストクの交流に実に様々な分野で関わってきた約60名もの方々が、自らの体験をエッセイとして寄稿し、まとめたものです。
その方々の分野の広さと言ったら、ビジネスマンや研究者はもちろん、作家、芸術家、ジャーナリスト、出版者、学生、行政関係者に至るまで、日露両国の交流に関わるものは全てカバーされているといっても過言ではないほど。
世代も千差万別な執筆者のお一人お一人が、隣国である日本とロシアへの、熱い思いを胸に秘めています。

全編カラーで、多くの貴重な写真がちりばめられ、手に取るとずっしりと重いこの本の前書きには、次のように記されています。
「おそらく、この文集に参加したひとりひとりの著者の様々な思いや気持ちをひとつにまとめて表すような言葉は見つからないでしょう。400ページもの料を一言にまとめられるでしょうか?いづれにせよ、単純明快ですべてを包括するような言葉があります。それは『信頼』です。つまりこの書籍は、人間的な愛や誠実さ、正直さ、自分の言う事を聞き入れ、そして理解してもらえると信じること、また、相互理解や友情の絆についての本なのです。」
「すべての物語が、ひとつの思いに貫かれています。国民性の違いや、あらゆる未解決の課題があるにも関わらず、友情、平和、相互理解といったものを目指す共通の思いが私たちを繋いでいるということです。」

ウラジオストク。その街の名前を聞くと、どうしても思い出さずにはいられないことがあります。

ソ連時代の末期、ウラジオストクの完全開放を待たず、弊社は、戦後初となる日本からの団体ツアーを企画。
その思いは実を結び、ソ連政府との困難な交渉を経て、1989年の陽光まぶしい5月、観光客、ジャーナリスト、戦前のウラジオストクにゆかりのある方々、姉妹都市交流を期す行政関係者など、総勢約250名の日本人によるウラジオストクの訪問を実現します。
そのとき、下見に行った弊社スタッフは、この坂道と夕日の美しい港町は、近い将来きっと日露の要に変貌するだろうと確信したといいます。

やがて時は流れ、ウラジオストクは開放都市となり、日本との交流の軌道をひた走り始めます。
ウラジオストクへのツアーがようやく日本で根付き始めたころ、国際会議のアテンドでウラジオストクを訪れた私に、環日本海経済圏をライフワークに掲げる方が、このようにおっしゃったことがありました。
「私は日本海を、どうしても平和の海にしたい。そのためには、お互いがお互いを必要とするような存在にならなければならない。」
今や2020年。日本とウラジオストクは、名実ともに、互いになくてはならない存在へと変わりつつあります。

今はコロナで一時的に往来が難しいけれど、必ず復活する時が来る。
その日まで、あらゆる分野の人々が築き上げてきた日露関係への思いを知るのに、最適の本。
秋の夜長、是非じっくりと読みたい本です。

この本の執筆、編集、印刷に携わった全ての方々に敬意をこめて。
ご注文は、下記サイトからどうぞ。
https://japanvladivostok2020.wixsite.com/mysite