ロシア正教で最も重要な修道院の一つで、多くの信者が心のよりどころとしているセルギエフ・ポサードのトロイツェ・セルギエフ大修道院。
トロイツェ・セルギエフ大修道院はロシア最大の男性修道院で、修道院の敷地内には修道士や聖職者など約200人が暮らしています。
その歴史は小さな寺院から始まった6世紀までさかのぼり、その後長い年月をかけて拡大、発展し1993年には優れた著建築が認められ、ユネスコの世界遺産に登録されました。

モスクワを訪れるツアーではこの修道院の見学が含まれていることも多く、この修道院の歴史や建築美については語られることも多いと思いますが、今日は少し違った視点で、修道院の「食」についてご紹介したいと思います。

修道院の生活の中で「修道士は一体何を食べているのか」気になる人も多いかもしれません。
修道士は、食べ物に関するルールをつづった修道院憲章に従って食事をします。
憲章の主なルールは、食品は最小限の熱処理が施され、消化しやすいものであること、そして家禽(肉・卵・羽毛などを利用するために飼育する鳥の総称)を含む肉類を食べないことです。魚は食べても問題ありません。

修道院の食事は朝、昼、夕の3回設定されていますが、中でも昼食は必須の食事とされています。
昼食は単なる食事ではなく、各々の問題を伝え、解決する場でもあります。メニューはサラダ、スープ、ホットディッシュ、モールス(こけもものジュース)またはドライフルーツのコンポートで構成されています。先ほど述べた通り肉類は消費されないので、これらのメニューはすべて野菜や豆、魚で作られます。
朝食をとる習慣はもともとありませんでしたが、学校に通う修道士が空腹で集中できないことがないよう、1980年代頃から提供されるようになりました。
朝食にはパン、砂糖、お菓子、バター(乳製品が食べられない日は出ません)、おかゆがあります。
夕食は様々な理由で昼食を食べる機会を逃した人もいるので、スープや温かい料理が用意されます。
乳製品が食べられる日にはキャセロール(煮込み)、チーズケーキやおかゆもあります。
また、糖尿病などを患っている修道士には特別な食事が提供されるようです。

修道院では、ベーカリー、菜園、酪農場があり、専門の修道士が働いています。
ベーカリーではジンジャーブレッドのようなお菓子「カブリジカ」が古くから作られており、これは修道院の名物となっています。