世界遺産の木造建築で知られているキジ島への玄関口(ここからキジ島への水中翼船が出発します)であるペトロザヴォーツクは、フィンランドと接する北方ロシアに属するロシア連邦のカレリア共和国の首都で、地理的には北緯60度に位置しています。
 この都市の名、ペトロザヴォーツクは「ピョートル大帝の工場の町」を意味し、それは1703年ピョートル大帝が大砲や錨を作る工場をこの地に建設したからだと言われています。人口は約28万人で、割合としてはロシア人が87%を占め、残りの13%がカレリア人など少数民族が占めています。
 カレリアとはフィンランドから北ロシアにかけて存在する森林と湖沼の多い地方を指し、この地方に住む人達をカレリア人と呼んでいます。カレリア地方は隣国の争いにより、何度もその境界線が塗り替えられたりと周囲に翻弄された歴史をたどってきました。
 現在カレリア人は非常に少数となっていますが、ペトロザヴォーツクではカレリア料理を味わうことができます。有名なのはキジ島の浮かぶ湖で知られているオネガ湖でとれるサーモン、チョウザメを使った魚料理や、ライ麦のパン生地にカッテージチーズや魚の詰め物をしたカリトカというパイです。料理法は焼いたり蒸したりとシンプルなものが多く、素材の良さを存分に引き出しています。また、バリザムという多種の薬草とベリー類の果汁を合わせた45度のお酒もこの地域の特産です。
 キジ島に行かれる方は、ちょっと時間を作ってペトロザヴォーツクにも立ち寄るのはいかがでしょう。さわやかな風に吹かれながらオネガ湖のほとりを散策したり、北欧調の雑貨を見つけたり、カレリア料理を試してみたり、素通りにするにはもったいない魅力あるペトロザヴォーツクの町もぜひお楽しみください。