春を迎えるお祭り

年を越すと、そろそろ春のことなどを考え始めます。日本ではお正月の次は節分、そしてそれが終わると春分の日を迎え、春を迎えることになります。これは諸外国でも同じで、たとえばロシアであれば「マースレニッツァ」、中央アジアであれば「ナウルーズ」などが代表的な春を迎える祭りです。
今回はバルカン半島の南にある国・ブルガリアの春を迎える祭りに焦点を当ててみます。

ブルガリア版「なまはげ」

ブルガリアにも春を迎える祭りがあります。「クケリ」というお祭りです。このお祭りはブルガリア各地で1月末から3月にかけて悪霊などの縁起の悪いものや冬の寒さを追い出し、春の暖かさを迎えるための準備の意味合いのある祭りです。
昔はブルガリア全土で行われていた祭りらしいのですが、今は文化財の保存、といった感じの保護を受けた地域の祭りだけが残っているそうです。これはどこの国も事情は一緒ですね。
このお祭りの特徴は、独特のグロテスクな仮面をかぶった一団が登場することです。この様子はまるで日本の秋田県にで行われる「なまはげ」を見ているようです。縁起の悪いものを追い出す、という点でも共通のものがあります。

お祭りの起源は?

このお祭りの起源は相当古いらしく、紀元前のトラキア時代に遡ると言われています。調べたところでは、ブドウやワインの神・ディオニソスに関連する祭りで、昔から冬を見送り、春を迎える祭りだとのことでした。ワインの産地として有名な国なので、やはりブドウに関連するのですね。
なお、「クケリ」という言葉の語源は分かっていないらしいのですが、一説によるとサンスクリット語の「ククラ」ではないか、という話があります。サンスクリット語で「ククラ」という言葉があり、それは「犬、動物」といった意味を表すそう。何となく本当らしく聞こえます。サンスクリット語が語源だとすれば、はるばるインドから何らかの形でブルガリアに伝わってきたのでしょうか?ちょっとロマンがあります。

仮面の意味は?

このお祭りは仮面をかぶったお化け(?)が沢山出てきて村を練り歩くのですが、この仮面は木で出来ていて色とりどりの飾りが付けられています。飾りはいろいろな材質から出来ているのですが、主だったところではヤギなどの皮にカラフルな糸で刺繍が施してあったり、キラキラしたビーズがちりばめられ、さらに鏡の破片でキラキラさせたりと結構派手です。
仮面にはいろいろな色が付けられているのですが、それぞれ意味があるらしいです。代表的なところでは以下の通りです。

●黒:土や復活する自然、または火を表す。
●白:水や光などの明るさを表わす。

その他の色にはどんな意味があるのでしょうか?それを考えて行くのも楽しいものですね。
また、仮面のお化けのベルトには鈴(ベル)が付いています。これは重要なもので、ベルの大きな音で悪霊を追い払うとのことなのです。祭りの目的の根幹にかかわる事項なので手が抜けません。そのため、ベルの数が多ければ多いほど良く、また、大きければ大きいほど良いとのことになるため、沢山のベルをぶら下げたお化けが登場します。1個がそれなりに重いので、場合により30kg~40kg程度のベルをぶら下げたお化けもいるとか。

どこのお祭りがおススメ?

この「クケリ」は一般的にはソフィアの郊外にあるペルニクというところのものが有名なのですが、知る人ぞ知る、というものを見たい方はギリシア国境近くにあるロドピ山脈の山の中の村・シロカ・ラカのクケリがお勧めです。2017年は3月5日がクケリ祭の日。シロカ・ラカはブルガリア第二の都市・プロヴディフからアプローチするのが一番ですが、いずれにしてもお祭りは朝からになるので、ソフィアから行く場合はシロカ・ラカ近くに宿泊する1泊プランとなります。すこし手間はかかりますが、絶対に見る価値のあるお祭りです。ロシア旅行社に相談していただければ個別プランをお組みしますので是非ご検討ください。

素朴な田舎の村です。

ロトピ山中の田舎村シロカ・ラカ。雰囲気抜群です。